ヘッドホンアンプ Pro-Ject Head Box SEⅡを購入

いつの間にか面倒な方向を目指してた

 初めて購入したUSB-DACはSound Blaster Extigyでした。2002年の当時はUSB接続のサウンドデバイス自体珍しい時期でソースもMP3よりMidiを良く聞いていたと記憶しています。目新しさから手にした製品で、PCIの規格に囚われない仕組みな事もあって10年近く愛用。2012年に新たな流行りに乗り PRODIGY CUBE へ更新。バスパワーで更にコンパクトになり、肩肘張らず楽しめるのにOPAMPが交換可能だったりと面白い製品でした。コレもかなり気に入っており今でも使用しています。

コンパクトで概観もシッカリしたヘッドホンアンプ、USBケーブルでPCと接続して使います

PRODIGY CUBEが壊れる前に機材入れ替えをしようと、次に購入したのがSMSLのSU-8。アナログ出力に特化したオーディオインタフェースで大幅なスペックアップを果たします。ですが当初は「言う程 差は無いかも?」と感じていました。スピーカーでは音量が上げられず、聴き比べにはヘッドホンが必要と感じ過去制作したヘッドホンアンプキットを引っ張り出しテスト。ある程度の決着は付くものの腑に落ちない点が多く、真当な製品で差を確かめたいと言う欲求が大きくなったのがここ半年位の話。気がつけばUSB-DAC / アンプ・スピーカー / ヘッドホンアンプ (合わせて電源やらケーブル等々)と構成が大げさな方向へ変わってしまいました。

DAC内蔵のオールインワンアンプでも良いかと思っていたのに、気がつけば真逆に進み始めています。世間ではスマホとBluetoothでワイヤレスへ進む中「どうして、こうなった!」と感じるばかり。本当に何処で間違えたんでしょうかね?

Pro-Ject Head Box SEⅡを導入

 しばらくヘッドホンアンプを探しますがピンとくる製品が見つかりませんでした。昨今の流行りはワイヤレス・イヤホンジャック付きDAC・中華の安物 ばかりで、往年の仕組みは高級機を覗いて姿を消しています。新品での購入を諦め、古いレビューを参考に中古を探したどり着いたのがPro-Ject Head Box SEⅡと Intercity HD-1L 。発売当時は買えなかったでしょうが、今なら比較的 リーズナブルに入手可能です。タイミング良く安価なHead Box SEⅡを発見。箱なしで色もシルバーではなかったですが、中古相場の半額だったので思い切って買うことにしました。

期待していませんでしたが、思った以上に状態の良い個体を買うことが出来ました。多少古いかも?とは感じましたが、大きな傷や汚れは無く状態は良好です。にしても電源がAC-ACアダプターなのには驚きました。交流のアダプタは変えが効かないので大切にしなくては。入力 1系統 / 出力 1系統 / フォン2系統の変わった作りです。出力は電源OFFでも動作するため、DAC - ヘッドホンアンプ - アンプ - スピーカー と切り替え無しに接続出来て良い感じ。サイズは 103 x 72 x 170mm と古いオーディオ機器としてはコンパクトな見た目。ただし重量は1.0kgとなかなかです。

フロントパネルは厚手のアルミで、それ以外の方向は鉄板で覆われる構造。高さの割に中はスカスカ。そしてヨーロッパ製品に良く有る変なケーブルが1本生えていました。コレは検索した所 同じところから2本出てたり、左右から1本づつ出てたりと個体によって差がある模様。凄く気になりますが、触らないでおくことにします。2つ付く見慣れない形のボリウムと大きな電解コンデンサが目を引くものの、それ以外は面実装のパーツで構成されたシンプルな作りです。

PHONE 1/2の出力に沿う様 Texas InstrumentsのヘッドホンアンプIC TPA6120A2が有り、その手前にBurr-BrownのOPA2134、電源入力付近にはジャミコンの25V2200uF 電解コンデンサが並び、付近にTIの電圧レギュレータ LM337が付きます。それらとチップ部品が左右対象に配置されている様はなかなか美的。断言できかねますが、オペアンプ辺りまで L/R の音を個別に導き、それぞれをヘッドホンアンプICで合わせ PHONE 1/2へ送っている感じでしょうか? 部品構成は高級感有る感じではありませんね。手を加えられそうな点はオペアンプと電解コンデンサ位でしょうか。興味はありますが、しばらくはこのまま使っていこうと思っています。

激変は無い印象。ただし・・・

 繋いでみて初めに感じたことは「激変は無い」事。少しガッカリしましたが、オーディオとは得てしてそう言うモノだとひとまず言い聞かせます。ただ細かな点は時間と共に感じてくる訳で、最も気になった点は静けさではないでしょうか。曲の合間に有る一瞬の無音が、自作キットやPRODIGY CUBEで感じるソレより静かだと感じました。実際最大音量でのノイズは激減しているのでクリアに聴こえているのかもしれませんが、本来 リスニングで気が付く程ノイズが乗るわけじゃないので自身でも何とも言えない感想です。また左右で聞こえてくる音に広さや奥行きに差を感じる様になりました。入力されている信号には差が無いはずですが、Head Box SEⅡでは不思議と距離や回り込みなどを感じるように聴こえます。そのため聞き慣れた曲の中なのに、新たに打楽器の音を見つけたりするので色々新鮮でなりません。旧環境で聴き直すと確かに鳴っているのですが、何故 Head Box SEⅡで聴いた時に気がついたのかと不思議に感じます。

かなり贅沢な存在だとは思いますが、些細な差に気がついてしまった今となっては「オールインワンで良かった」とは言い難い心境です。「知ったからこそ楽しめる」事と「知らなければ気にしなかった」だろう事を考えると、むしろ今は不幸なのかも知れません。だとしても悩み自体も含めて楽しめているので良かったのだと思います。問題が有るとすれば「もっと良くしたい」と言う欲求でしょうか。この思考は終わりが無いので厄介そうです。