実用面で見るマクロレンズの印象
室内で見る、距離と映りの印象
さっそくTAMRON SP 90mm F2.8 Di Macro をテストです。室内にて南 採光の壁面に配置したオブジェクトを撮影してみました。ピントは全て同じネジに合わせてあります。被写体との距離を1.5 / 1.0 / 0.5 / 0.3m とし、測定しながら実施。ホワイトバランス 5,300K・シャッタースピード 1/400・絞り開放に固定し撮影しました。ただしF値は距離が近づく毎に 3.2 / 3.2 / 3.6 / 5.0 と暗くなる仕様です。現像は同一の設定で現像し、ノントリミング・ノンレタッチにて 50%縮小にて画像化しています。
クリックして拡大して見てください。どの写真も中央の解像度が非常に優れているのが分かります。周辺減光は発生していますが、少し絞れば気にならなくなるレベル。そして常用距離でもマクロ距離でも安定して高画質を提供します。最短距離ではF値が大幅に低下するため、マニュアル撮影だとかなり暗くなる印象ですね。普段は絞り優先で撮影しているので良いですが、それでも特性は頭の片隅に入れておく必要がありそうです。
最後 20cmの寄りは実に効果的ですね。この踏み込みの有無は作風に大きく影響します。常用域 3枚では気にならない、ネジ頭の切削痕や金属表面に飛ぶスパッターは、通常域ではホコリや汚れと同化してしまい上手く伝えるのは困難な事でしょう。単に『 近づく 』が出来るだけで、何でも無いオブジェクトにメッセージ性を持たす事が出来るのはマクロレンズ最大の強みです。この画力と特性を一度知ってしまうと、なかなか手放せません。正直私個人としては、 広角レンズが写す広い視野より、アーティスティックでテクニカルな写真が安易に撮影可能だと感じています。
貧困思想強い味方
マクロレンズとは『 近くまで寄って撮れる特性 ≒ 優れた光学設計 』 な訳で、普通に撮影するだけでも並のレンズより良い画像が得られるわけです。
[exotic]と言う言葉がありますが(南国とかアジアの雰囲気と言う意味ではなく)、本来は魅力的な・風変わりな・珍しい・派手な・目立つ 様の事を表す言葉です。現代風に言えば " 完成度の高い、高度な映 " となるのではないでしょうか。
このレンズは、あらゆる場面で他では成し得ないエキゾチックな写真を提供するでしょう。いつものレンズから変えて3歩下がるだけで、同じ様で似て非なる写真が取れるはずです。この楽しさを多くの人に知ってほしいのですが、なかなか伝わらないのがもどかしいですね。是非ご自身の日常の中で体感してほしいアイテムの一つです。