キリンのプレミアムビールSVBを試す

大手が作ったマイクロブルワリー

 2015年にキリンが発表した小規模ビール醸造の計画にはヤッホーブルーイングとの業務提携と、オリジナルブランド スプリング バレー ブルワリー (SVB) の展開がありました。代官山と生麦(横浜工場敷地)の2カ所でブリューパブを展開。その後は京都と銀座の計4カ所と広げ、ドラフトは店舗で、ボトルは店舗とメーカーオンラインショップでのみ販売する形を取っていた様です。長らく縁遠い存在でしたが、先日酒屋に行くと店舗でしか手に入らないはずのSVBが! コロナウィルスの影響かは定かで無いですが、496とon the cloudの2種類が並んでいたので早速購入してみました。価格はそれぞれ398円(税別)。オンラインショップより少し安く、欲しい銘柄を必要な本数買えるのは実に嬉しいです。

スプリング バレー ブルワリー (SVB)

まずはSVB 496を試してみた

 ボトルにもWebサイトにもスタイルの説明が無く、どちらを先に飲むか迷いました。これは戦略なのか省略なのか分かりませんが、料理や気分に合わせてお酒を選びたい身としては凄くマイナスなポイントです。勝手な想像や気分から味を決め込んで口にするため、予想との乖離が大きいと残念感がハンパありません。小麦系のビールだと思われるon the cloudは次回開ける事にし、ひとまず496だけ楽しむ事にしました。

スプリング バレー ブルワリー (SVB)

ビールの無限の可能性を追求した、既存のどのビアスタイルにも属さない、スプリングバレーブルワリーのフラッグシップビール。究極のバランスで、強い個性と飲みやすさを両立。エールのような豊潤さとラガー(低温熟成ビール)のようなキレ、IPAのように濃密なホップ感。甘味・酸味・苦味の究極のバランスと深い余韻が楽しめます。

との説明だったので、香りや味わいの深いラガーかと思い1本目に選択。実際は、甘さを錯覚させる香り・遅れて訪れる強めの苦み・その割にはヌケの良い後味・・・クセが少なく後味がスッキリした過度に主張しない『日本っぽさ』を感じるエールの様な印象。ゴクゴク飲める口当たり、キリンらしい強調した苦み、しっかりした泡立ち、喉を抜ければ味も香りもスッと消える辺りが “っぽさ”を強く感じたポイントです。エールと例えましたがラガーには間違いなく、その割に強めのアルコール度数とオレンジがかった色が気になります。ボックなどに近いモノなのでしょうか?その割には苦みは強め。いずれにしても天ぷらやスナックよりは、スペアリブなど濃い味付けの肉料理に合わせたい一杯だと感じました。

オススメだとは思います

 『生しか飲まないけど、変わり種を』とか『流行のクラフトビールを試したい』方にはピッタリなんじゃないでしょうか。少なくとも最悪の印象で終わる様な事は無いと思われます。個人的には『ビールの無限の可能性を追求した、既存のどのビアスタイルにも属さない』程の何かを感じる事は出来ませんでした。期待すると、かなり拍子抜けするかもしれません。好みの話なので正解は無い訳ですし、世界には多種多様な味が溢れています。日本人なので日本らしさに平凡な印象をもってしまいますが、他国から見ればかなり違ったモノとなるでしょう。らしさを海外に発信するなら応援したいと感じますが、国内のみの流通とするならもっと強いメッセージが欲しいと感じました。

 言いっぱなしは無責任なので、少ない経験から例を出すとすれば・・・
ピルスナー ウルケルには伝統と気高さを感じる味がしますし、リヴィジョン ブルーイングのIPAには個性と遊び心が現れてる味がします。フェアステイト ブルーイングのピルスナーを飲んだ際は真面目さと旨さへの挑戦を確かに感じました。日本の大手ビールからは『気候・食事・民族気質』と日本の文化に向き合った味を感じます。日本らしい個性的な味で、大量生産でも品質を維持する技術は素晴らしい事でしょう。ただ『フラフトビール』と銘打つのだから、ビール造りはビールと向き合って欲しい。こう思う事は、やはり我が儘なのでしょうかね。