Omega77でリールをグリスアップをしてみる

ゴリが出始めたスピニングリールはどう変化する?

 手持ちのスピニングリールには全て信越のG30-Mが充填されており、そこそこ快調に動いています。その中でも中古で購入した少し使用感の強い個体にOmega77を使ってみて、どう変化するか試してみました。各部回転部品に抵抗や不具合は無い物の、ヘリカルギヤのかみ合わせ部からコロコロとノイズが出始めている個体です。現状ではグリスを定期的に追加したとしても、改善する事は有りませんでした。

全バラ、洗浄の後にグリス再充填

 さっそく分解し、内部部品を取外していきます。各部品を全てボディーから外し、部品後に洗浄できる状態まで分解。異なるグリスの成分が混ざり合う事は検証としても機械的にもあまり良い事がありません。古いグリスはしっかりと拭い取り、パーツクリーナーで洗い流す事とします。

DAIWA 15フリームス 内部

見る限り水分や金属粉の出た用なヨゴレは無く、グリスはキレイな様子です。ボディに残るグリス量に対して各ギヤに付着する量は少なめ。油膜切れを起こしてる様子はありませんが、酷く非効率で塗り足したとしても効果的には作用しない事が見て取れます。粘度は低く糸を引く、大半が遠心力により壁面へ追いやられています。ただ潤滑は維持されており金属面が摩耗した様子はありません。拭き取りは容易ですが、耐油性が高いためパーツクリーナーでも溶け出しは遅く、洗浄には手間が掛かりました。改めて性能の高さとオープンギヤ系には向いてない事が確信できた感じです。

DAIWA 15フリームス 内部

洗浄が終わったら、Omega77を塗布しながら逆手順で組み立て。伸びが良くネバリが強いため、ギヤ歯の中や細いパイプ等にも馴染みが良く作業が楽です。赤色のグリスは作業の終わった箇所が分かりやすく、はみ出し部分の拭き取りや追加の塗布など効率的に行えました。反面 粘りが増した事により、動作に抵抗を生む事に。飛び散り量が少ないため盛る必要はありませんが注意が必要です。ヘリカルギヤには多めに塗布したいだけにジレンマ。初回は少し多めにしたので、しばらく回転は重くなる事でしょう。

 組み立て後 動作確認して感じた事は、潤滑油として『特別大きな変化は無かった』と言う事です。高精度・高負荷な環境では無いですし、其々グレードの高い製品なため当然の結果ではないでしょうか。それ以外の変化とし気になるのは2点。まず良い点として、ギヤのノイズが変化しました。シリコングリスのG30-Mは駆動で生まれるノイズの低減には作用しませんでした。得意とするシールドベアリングやカップ&コーンベアリング等でも十分潤滑しているものの音を消す事はありません。Omega77になり粘度が増した事でコロコロ感じる音や感触はかなり低減され、症状自体の存在が分からなくなる程度に改善されました。次は劣る点として、予想通り巻きが重くなりました。ちょう度は其々2なのですが、粘り気が強い分当然巻き抵抗を感じる様になります。余分な量を拭き取りギヤへは塗り広げましたが、以前の様な軽やかさに戻る事は有りませんでした。

良品に万能品は無し

 結果としては満足の行く物でした。まんま予想通りです。これがフッ素が添加されるOmega22なら違ったのかもしれませんが、そもそも単価が違いすぎて差が出たとしても当然で驚きはしなかったでしょう。少なくとも過酷な場での使用を想定している製品ですから、釣具やチャリ程度で破綻するような事は無いと言う事です。ただ、特徴はしっかりとしているので適材適所使い分けが必要だと言う事が改めて分かりました。当初の目的は『万能品を手に入れる』事でしたが、結局の所必要に応じて買いそろえる事になった訳です。信越 G30-Mはブレーキキャリパーの整備時も使いますし、新品の工作面との相性は抜群です。傷や痛みの無いリールやチャリのホイールハブにはシリコングリスを使い、ゴミを入れたくないステムベアリングやゴリの出始めたリールにはOmega77と言った具合ですね。

OMEGA GREASE 77