分かっているけど・・・それでも万能を欲してしまう

言う程、万能な物って無い

 世の常として『万能な道具』を欲しがちですが、確実な結果を望む程『そんな都合の良い物は存在しない』事に気が付きます。とは言え適応の幅が広い事はコストや管理の面からすれば悪い事ではありません。サンデーメカニックの身としては、使い切らないケミカルを大量保有する事は避けたい。そんな訳で自転車・釣具・オートバイに使えるグリスの選定に長らく頭を抱えています。潤滑性は当然の事、腐食性・耐水性に加えて、パーツクリーナーによる洗浄性・粘り気・付着の善し悪しに加えて、容量・容器など加味すると結構シンドイ。万能グリスなる物も存在しますが言う程万能な訳でも無く、逆に高性能な製品程 特化した物となりがちです。

信越 G30-Mを使い終わって、次の候補を選定中

 今までは低温潤滑用のベアリング用シリコーングリス 信越化学 G30-Mを使用してきました。素材に対して不活性で、耐熱・耐水性に優れており非常に使い勝手が良い製品。ちょう度2ながら、柔らかく滑らかな事も良かったです。ただし粘り気が低くカップ&コーンやシールドベアリングなんかには良いですが、オープンギヤなんかには向いてない様子。加えてノイズが発生しやすく、場合によって不快に感じる場面もありました。バイクではブレーキピストンとピストンピンに使用していましたが、それ以外の場所には使いどころが少なく不便さを感じています。そうこう考える事十数年・・・気が付けば残り僅かとなってきたため、無理して使い切らずに別の製品を探す事にしました。まずはライダーやメカニック等のブログで候補を絞り込み。ワコーズ・BEL-RAY・MAXIMA・SUPER ZOILなど定番のラインナップが並ぶ中、特に目を引いたのはFUCHS SILKOLENEのPRO GR2とOmega LubricantsのOmega57。モーターオイルを製造する化学メーカで、レースマシン等で使用されているため性能面や信頼性では申し分有りません。双方とも100g入りチューブが有り1,500円程の価格と条件が並んでいるため、最終判断は製品の紹介サイトの内容で決める事にしました。

アマチュアだからこそ重要な成分やスペック

 バイクや自転車の場合ブッシュ等への攻撃性を気にしますが、釣具では加えて樹脂部品への影響も加味します。双方とも腐食性は低いとしていますが、特徴や成分などが気になり商品サイトを参照。すると Omega にはスペックが有りましたが、PRO GR2には製品説明しか無く詳細は無し。広い用途で使用したく思っていたため、基油・成分などが記載されているOmegaを選ぶ事にしました。目星を付けていたOmega57よりニーズに近いOmega77をサイトから見つける事が出来た事も評価していますが、基油がナフテン系より不純物のより少ないパラフィン系であり、そのアピールがシッカリしていた事も購入を後押ししています。ブログでの評判は圧倒的にPRO GR2で、特に500g入りはコストパフォーマンスも高く購入先も多かっただけに、この結末は残念です。

Omega Lubricants Omega77

成分・製法・ヒストリー・理念などを加味して物を買う事は、メジャーでは無いし特別利口だとも思っていません。しかし何を使わされているのか分からない事は、私としては気持ちが悪くて嫌です。それはTシャツでも、家電でも、ケミカルでも同じです。メーカ・生産国・材料・技術・安全性など、代理店としては『聞かれない』『書いても理解できない』と判断出来る事柄でしょう。しかし、それらを必要とするか決めるのは私自身です。『選ぶ事』はそれ自体に責任が伴います。それがメカニカル的な分野なら尚の事。故に軽い事だとしても、自身が納得できる選択をしたいと思うし、そのためには多くの情報を精査しようと考えます。 私としては重要な事なのですが、なかなか伝わる事が無くてもどかしい。