趣味でインクの褪色を調べています

 初めて家庭用インクジェットプリンターを購入したのは1997年 キヤノンのBJC-700Cでした。当時の価格は7万円で、民生用としては初めてCMYKに加え特色を採用した高画質機になります。高校生で写真部員だった私は『現像室や薬品を使わずとも自宅でプリントが出来る』と有り金叩いてこのプリンターを購入したのですが、現実は厳しかった事を良く覚えています。データの都合・ディスプレイの都合・プリンターの都合・印刷用紙の都合などなど、今の様にWebで調べる事も出来ずサポートセンター、販売店、詳しい友人、印刷業者に質問しまくり思い通りの色が出るよう試行錯誤をして遊んでいました。

 その事を切っ掛けに、プリントした物がどれくらいの期間持つのか試すようになり今に至ります。フジフィルムの100年プリントとインクジェットの出力を壁に貼り、新しいプリンターを買う毎にサンプルを追加して色の変化を見てきました。結果としては『インクより用紙の方が先に劣化する』『特定の色が褪色する事は無く全体が徐々に薄くなっていく』『ニューモデルだからと言って画質や褪色耐性が大幅には向上しない』事がわかりました。対してDPEの100年プリントは5年持たず褪色が始まり、消えたりはしませんが色合いは早々に悪くなります。冷暗所で保存したとしても100年は保たない事でしょう。

社外インク耐光テスト

 『インクジェット出力最強!』と信じて過ごしてきましたが、安さに目がくらんで購入した社外品インクにより不動の信頼性はもろくも崩れます。社外インクは1セット3,000円程と純正価格の半額以下。当然何かが足らないのだろうと思っていましたが、まさか耐久性がまるで足らないとは・・・印刷から約2ヵ月でご覧の有様です。出力した直後はバッチリの色合いが出るものの、褪色のスピードが恐ろしく速い。書類や記録ならまだしも、写真印刷用としては機能を果たしていません。

社外インク耐光テスト

 『純正インクは高いな』と当時から感じていましたが、それに見合う品質と性能があったんですね。改めてメーカの底力を思い知らされます。とは言え今使うプリンター(14,000円で購入)に純正インクを1セット入れると7,000円です。写真より書類を刷る機会の方が遙かに多くなってしまった今、綺麗な写真を刷るだけのために高額のインク代を払う事は出来かねます。たぶん必要な時だけ印刷業者に発注した方が得策。更に言えば、一度プリントした物を5年も10年も保存する事は有りますか? 人より多くの写真を撮影する身なれど、保存する用の写真を印刷する機会は年に1度在るかどうか。スマホ・小型大容量のメディア・高速の無線環境が日常に溢れている今、紙焼きの需要は著しく低下してきています。個人的には凄く好きなメディアなのですけどね。情報にした方が遙かに簡単で確実となった現代において、単に見せると言うだけならプリンターはもう必要の無いツールなのかも知れません。